一ページ目



辺りは静まり返った駐車場、外灯の明かりに昆虫が寄っている。

俺は車内でシートを倒しルームランプをつけ手を寝そべってる頭の下に置き

少しでも頭が痛くならないように手をクッションにしている。

そしていつものラジオを聴きながらとある国立公園の目と鼻の先にある道の駅の

駐車場の隅で放置車両のように止まって呼吸を整えている。

そしてすぐ横を通っている国道は大型トラックや乗用車が忘れたころに通り抜けていく。

 その流れに目も耳もその方向に意識を向けてやることに余計な体力は使いたくない。

それほど疲れているのだ。時間は午前4時を回っている。

「どうせ明日も休みなんだ、このまま寝ちまうのも悪くないだろう。」

少々背中が痛むセミバケでも我慢して横を向いて寝ることにした。

季節は8月半ば、正直な話エアコンを利かせて寝てしまいたいくらいだがあいにく永遠の眠りに

つくほど人生に疲れているわけでなくまだまだ霊柩車のお世話にもなりたくない。

 そしてそのままお世辞にも長いとはいえない睡眠についた。

「おっと、ルームランプとラジオを消すのを忘れていた・・・。」

どうしてこんなことをしているのかと言うとそれは一週間に遡らないといけないことだ。

 一週間前・・・

 俺はいつものように愛車でバイト先のガソリンスタンドに向かっていた。

からとてつもなく暑い、運転席のドアのカギを開けノブに手を乗せたら

心の耳ではジュッっと水滴が熱く焼けた鉄板の上に乗って蒸発したような音が

聞こえた感じがした。一瞬このドアは俺に何の恨みがあるのかと恨みを覚えつつあまり

ドアに触らないようにすばやくドアを開けシートに収まった。

さらに敵はまち構えていた。太陽が空に顔を出して3時間もたては車内の温度など

容易に想像は出来るのだが・・・それにしても暑い。

キーを挿して捻ってエンジンを起こす、いつもとなんら変わりない日常だ。

 そんなこんなで車を店の隅に置き着替えをする.それにしても更衣室も暑い。

どこまでこの暑さは人間達に付きまとうんだ。張倒したい。

 外で水を撒きながら客が来るのを待っているわけだがやっぱり石油価格の高騰の

せいでかなり働いてるフリして結構暇が出来るものだ、それにたまに来た車でも

なかなか満タンにしない、それに軽やディーゼル車ばかりだ。ハイオクなんて

入れる客なんて俺くらいなものだろう。そんなこんなで終了時間だ。さっさと着替え

いつもの湖畔に向かっていた。時間は午後十一時を過ぎた。スタンドを抜け北のほうへ向かう。

町の中心部から離れ片側二車線のだだっ広い国道を走りぬける。

そして頭上にあるオービスに光もしないのにXサインをして走り去る。

左を見ても右を見ても畑だらけ・・・

たまにわき道へ入る細い道があったり小さいコンビニ的な店が一件あるくらいだ。

信号もあるがめったに引っかからない。

この直線だけで3キロ以上はあるだろう。


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